地方企業と若手採用の現状
地方企業が若手人材を採用する際、ウェブサイトや採用ページを活用した募集は大企業と比べて目立ちにくい傾向があります。しかし近年は、地元やUターンを希望する若手層に向けて、独自の魅力を打ち出す地方企業が増え、状況が少しずつ変わってきています。
特にコロナ禍以降、地元で働きたい学生が増加しており、2023年卒の学生のうち約62.6%が地元やUターン就職を希望しているというデータがあります(参考*1)。これに伴い、採用サイトやSNSを通じた情報発信が、より注目を集めるようになりました。
一方で、地方企業では高校卒業後に地元を離れる若者が多く、地元の経済や産業を支える人材が不足しがちです。鹿児島県の農業生産法人である株式会社オキスは、約100ヘクタールの広大な農場を持ち、大手食品メーカーにも野菜を供給するなど高い評価を得ていますが、人材確保が課題となっています。そこで同社では、経営幹部やDX、マーケティング人材を副業・兼業でオンライン活用するなど、専門知識を取り入れる取り組みを進めています(参考*2)。
このように、地方企業が地域の特性やデジタルの力を活かして若手採用サイトを整備し始める流れは、今後さらに加速すると考えられます。
若手人材が求める魅力とは
地元就職を検討する若手は、勤務地が近いという理由だけでなく、やりがいを感じられる業務内容や働きやすい環境など、総合的な魅力を求める傾向があります。給与や仕事の安定性に加え、福利厚生や柔軟な勤務形態、キャリアアップ制度など “ホワイト企業”の条件が重視されることが多いです(参考*3)。
また、若手の多くは仕事を通して成長や社会への貢献を実感したいと考えています。株式会社クリーク・アンド・リバー社は、クリエイターを地方に派遣して、地元企業と人材を結びつけ、新たな雇用やイノベーションを生み出しています。札幌や福岡、仙台、沖縄などに拠点を設け、地域の特性に応じた支援や新卒採用の増加を実現しています(参考*4)。
こうした事例からも、若手人材は地域での社会的役割や専門性を活かせる場を求める傾向が強いといえます。地方企業は、自社の魅力や地域の特性をしっかりと伝えることで、若手の興味を引きつけるチャンスを得られるでしょう。
予算や人材が限られていても始められる採用戦略
予算や人材が限られる場合でも、効果的な若手採用活動は十分可能です。まずは企業の認知度を高める取り組みが第一歩となります。
山形県を中心に事業を行う株式会社ホリエは、従来の就職ナビや合同説明会に加え、建築設計デザインコンクールを開催し、学生との接点を広げることで応募者数と質を向上させました。さらにレストランやホテル事業を始めることで若者との接点を増やしています。若手社員にプロジェクトリーダーの機会を与えるなど、生き生きと働く環境づくりも採用に好影響を与えています(参考*5)。
また、採用情報を発信する際には、企業の理念や事業内容、社内の雰囲気などを具体的に示すことが重要です。株式会社ラックは北海道旭川市と連携し、IoTセンサーを活用した地域課題の解決に取り組むことで人材採用にもつなげています。地域の実情に合わせた新技術の導入というユニークな取り組みが、若手の好奇心を刺激し、会社に興味を持ってもらうきっかけとなっています(参考*6)。
つまり、自社の持ち味を理解し、工夫して発信する姿勢があれば、限られた予算でも十分に若手にアピールできるのです。
活用事例から学ぶ効果的な取り組み
採用活動のなかでも、地域の特性や外部機関との連携をうまく活かした施策は大きな成果につながりやすい傾向にあります。NEXs Tokyoのマッチングコンシェルジュ支援では、兵庫県但馬地域の課題である高齢化や若手の県外流出に対し、地元の但馬信用金庫との業務提携が実現しました。信用金庫は地域の起業家支援にも積極的で、ベトナムの若手専門人材を活用する企業の取り組みを理解し、協力しています(参考*7)。
また、地域や企業と連携した教育プログラムも効果的です。産業能率大学では、全学部で課題解決型学習を積極的に実施し、学生が企業と一緒にプロジェクトに取り組む機会を提供しています(参考*8)。
こうした取り組みは、地域と企業、学生をつなぐ仕組みとして大きな効果を発揮しています。
今後の展望と継続的な改善のポイント
地方企業が若手採用を成功させるためには、一度の施策で終わらせず、地域とのつながりや企業内の働き方改革を継続的に進めることが大切です。
例えば、近年の採用イベントでは「若手採用」「多様な働き方」「ダイバーシティ」といったテーマが大きな議題となっています。そこで強調されているのは、学生と企業ができるだけ早い段階から関わる仕組みを持つことの重要性です。こうした視点は、地方企業にとっても同様に求められています。
また、全国ワークスタイル変革大賞では、「挑戦途中でも応募して学び合う場を作る」という姿勢が重視されています(参考*9)。つまり、完璧を目指すよりも、挑戦しては修正するというステップで少しずつ環境を整えることが重要です。
さらに、自社内に専門人材がいない場合でも、外部のプログラムを活用してスキルアップやアイデア創出を図ることができます。鳥取県が提供する起業家育成プログラムでは、経営者や社内ベンチャーを目指す人が学び合い、地域の経済を活性化につなげています(参考*10)。こうした場を通じて得たノウハウを自社の採用活動に取り入れれば、若手を惹きつける情報発信や企画が可能になるでしょう。
このように、地方企業が若手採用サイトを活用する際に重要なのは、単発の施策にとどまらず、地域資源やデジタルツールを組み合わせる継続的な仕組みづくりです。限られたリソースの中でも、自社の強みや地域ならではの魅力を発信し、現実的な手法を組み合わせることで、多様な若手人材を呼び込むことができるでしょう。
監修者
小池 正也(こいけ まさや)
Yahoo! JAPANの広告代理店にてWEB広告の運用に携わる。2009年、茨城県での事業立ち上げを機にUターンし、地域に根ざしたWEBマーケティング支援をスタート。これまで300以上の企業や店舗のWEB広告に携わる中で、広告を出すだけでは成果につながらないという課題を実感。
現在はWEBマーケティング全般に携わり、企業の魅力を引き出すWEBサイト制作や、Google広告・Yahoo広告・DSP広告・SNS広告などの運用、Googleアナリティクスを活用したアクセス解析を行う。現場での経験を活かした、改善提案を行っている。
出典
- (*1) LO活-Local+就活 – 保護者に伝えたい、「24年卒以降の学生」のための地方就活ガイド|LO活-Local+就活
- (*2) ■その他■ 九州労使フォーラム 登壇者のご紹介
- (*3) LO活-Local+就活 – 「ホワイト企業」ってどんな会社?特徴から見分け方まで、教えます|LO活-Local+就活
- (*4) 地方の人材を掘り起こし 地域に生かす|地方創生テレワーク
- (*5) |中小企業のUIJターン者採用を支援 – LO活 for company|認知を高め、求職者と接触できる面を広げたことで、採用が好転
- (*6) キーワードは「防災・減災」 技術を活かし地域の課題解決に向けて協働|地方創生テレワーク
- (*7) 【東京都主催】地域・業界・業種を超えるスタートアップ支援事業「NEXs Tokyo」 – 【東京都主催】地域・業界・業種を超えるスタートアップ支援事業「NEXs Tokyo」
- (*8) 産業能率大学 産能電脳ライブ特設サイト
- (*9) 全国ワークスタイル変革大賞2025 – 二次募集を開始しました(8/20-9/19)
- (*10) TORIGGER(トリガー)

