こんにちは。茨城県を中心にWEBマーケティングをサポートしている日宣パートナーズです。
今回は、私たちのリアルな採用活動についてざっくばらんにお話する回にしたいと思います。
今年の春、当社には3名の新入社員が仲間入りしました。
■営業職 男性 2名(中途採用)
■制作技術職 女性 1名(新卒採用)
いずれも20代の若い力です。
「WEB業界はトレンドだから採用は楽なのでは?」とよく聞かれますが、実はそう簡単ではありません。なぜなら、中小企業は一般的に知名度が低く、社名検索される機会が少ないという特徴があるからです。当社も例外ではなく、検索数が少ないために、約2年間、求職者とのマッチングに苦戦してきました。
このブログでは、直近2年間における当社の採用活動の取り組みを皆さまに共有していきたいと思います。採用難の時代だからこそ、少しでも参考になれば幸いです。
当社が実施したこと
1.採用活動全体を再設計する。
2.新卒採用と中途採用の採用フローを見直す。
3.募集要項を見直す。
4.採用サイトをリニューアルする。
5.広告メディアを見直し、改めて配信する。
6.全メディアの効果検証を行い、採用コストを算出する。
採用活動に苦戦していた頃の話
当時、当社の採用活動は、いわゆる採用サイトというものは存在せず、簡易的な「ランディングページ」を準備して、無料の求人情報サイトに掲載するだけでした。
「採用サイトも広告もすべて自社でつくれるのだから、本格的にやればいいじゃない!」とお客様に笑われることもありましたが、そこに十分なマンパワーを割くことができず、分かってはいても実行に移せなかったのが現実でした。
お恥ずかしい話ですが、これは業界あるあるです。お客様のWEBサイト制作やマーケティングが最優先となるため、自社のことは後回しです。
そのため、採用活動の準備が遅れ、手薄な状態が続いていました。顧客ファーストは当然のこととは言え、私たちにとっては大きな課題でした。
当時の取り組み
・採用ランディングページ
・ハローワーク
・Airwork
ミスマッチの連続
当時は、ハローワークを経由して35歳~50歳代を中心にご応募がありました。人口減少の影響で20代の人材は争奪戦になると理解していましたが、次世代の組織運営を見据えて、当社も20代を中心とした採用活動をしたいと考えていました。
しかし、予想通り、簡単には実現しませんでした。そのうえ、ご応募いただいた求職者様とお話ししていると、「マーケティング」という言葉が独り歩きしている印象を受け、日宣パートナーズやその事業、仕事内容を十分に理解してのご応募ではないことが多かったのです。
それもそのはずです。そもそも、日宣パートナーズを十分に知っていただくための情報にはなっていなかったのですから。
採用ランディングページは、全体の概要を伝えることはできましたが、公式採用サイトと比べると情報量が圧倒的に少ないため、求職者様に深い理解を得るには限界がありました。
この状況で、面接という限られた時間を有効に活用できているのか疑問になりました。お会いしてから会社の詳細を知っていただくとなると、とても時間が足りません。求職者と相互理解を深めるには不十分だと感じました。
これはマズイ。採用活動の全てを立て直さなくては。
求める人材像に近づくため、この手順で改善のアクションプランを進めました。
1.採用活動全体を再設計する。
2.新卒採用と中途採用の採用フローを見直す。
3.募集要項を見直す。
4.採用サイトをリニューアルする。
5.広告メディアを見直し、改めて配信する。
6.全メディアの効果検証を行い、採用コストを算出する。
以下、1つひとつ活動概要、改善ポイントなどをご紹介します。
採用活動全体を再設計する
求職者と日宣パートナーズが出会い、エントリーしていただくまでの各ステップを一つひとつ分解し、採用プロセスマップ(図1参照)にまとめました。そして、どのタイミングで、どのような接点を配置するかを決めました。その際のポイントは、求職者の理解度や心理変容をしっかり踏まえて設計することです。各ステップで求職者が何を知りたいか、どのように感じるかを考慮し、それに合わせた情報提供やコミュニケーションを行うことが重要だと考えました。
作成メリット
■採用活動の道しるべとなる
採用活動全体の流れを明確にし、次に何をすべきかがわかるようになります。
■関係者全員の意思決定&意思統一ツールの一つになる
採用に関わる全員が同じ方向を目指し、一貫した対応ができるようになります。
■求職者とコンタクトをとるタイミングや適切な情報提供を検討しやすい
各ステップでの適切な接点や情報提供を計画し、求職者とのコミュニケーションがスムーズに進みます。
■新卒採用と中途採用を併行しても慌てず対応ができるようになる
プロセスマップを活用することで、複数の採用プロセスを同時に進めても混乱を防げます。
■求職者をお迎えする「おもてなし」の気持ちが醸成される
求職者への対応がより丁寧になり、好印象を与えることができます。
■実践後に気づく違和感の解消も容易になる
実際に運用してみて生じた課題や違和感に対して、迅速に改善策を講じやすくなります。
新卒採用と中途採用 それぞれに採用フローを見直す
新卒採用と中途採用では、活動期間が異なるため、フローを別々に設計しています。
今回、大きく変更した点は、職場体験(トライアル)を取り入れたことです。新卒採用では広く取り入れられているこの取り組みを、当社では中途採用にも導入をすることにしました。
新卒採用の採用フローを変更する
【変更前】基本的な新卒採用フロー
◇書類選考
◇一次面接・適正検査
◇二次面接(最終)
◇内定
【変更後】新卒採用のフロー(制作技術職)
◇カジュアル面談
◇一次面接
◇インターンシップ(3か月)
◇書類選考、筆記試験
◇二次面接(最終)
◇内定
◇内定者研修
◇入社
※年度及び募集職種によっても異なります。
カジュアル面接
今回、当社の新卒採用は大々的に広報しておらず、多くの企業様が実施するような集合型の会社説明会を行う計画はありませんでした。その代わりに、個別のカジュアル面談を設定しました。
この面談は、正式エントリーの前段階として希望制で行われ、履歴書も不要です。面接形式ではなく、学生が知りたいことを中心に話が進みます。
業界の理解を深めたい、会社について詳しく知りたい、就職相談がしたいなどの様々な要望に応じて情報を提供する場となっています。
インターンシップ(3カ月)
今回の新卒採用は制作技術職でした。こちらのインターンシップは採用直結型であり、就職試験の一環として実施しました。
とはいえ、採用直結型といっても内定を確約するものではありません。そのため、私たちは学生に対して、当社だけでなく、他の企業も同時に検討するように推奨していました。
学生にとってファーストキャリアはとても重要です。できるだけ多くの企業に出会い、納得のいく就職活動を行ったうえで、当社と相性が良いと感じた場合に選んでいただくことを基本的な考え方としています。
中途採用の採用フローを変更する
【変更前】基本的な中途採用フロー
◇書類選考
◇一次面接・適正検査
◇二次面接(最終)
◇内定
【変更後】中途採用の採用フロー(マーケティング支援職|法人営業)
◇一次面接
◇体験入社
◇1日~5日(希望制)日給1万円
◇二次面接(最終)
中途採用にも体験入社を導入
中途採用にも体験入社を導入しました。初めての取り組みでしたが、おおむね良好だったのではないかと考えています。中途採用の体験入社も新卒採用のインターンシップと目的は同じです。
転職希望者が実際に職場で社員とともに仕事をし、自分に合っているかを確認していただくための機会です。テストではありません。参加は任意であり、求職者自身の判断を重視しています。
たとえ体験入社に参加しなくても就職試験そのものは受けられる仕組みを整えています。不参加によるネガティブ評価は一切行わないよう配慮しています。
体験入社の考え方
転職が一般化しているとはいえ、日本の社会では、短期間で職を転々とすることに寛大な企業ばかりではありません。そのため、企業と求職者のミスマッチは、求職者にとっても大きなダメージとなりかねません。
面接では、緊張のあまり頑張り過ぎてしまう求職者様もおられるでしょう。それならば、実際の仕事を社員と一緒に遂行する体験を通じて、より現実的に冷静に判断していただく時間を提供しようと考えました。
好きだと思っていた仕事が実際にはそうでもないと気づいたり、想像していたイメージと違っていたりすることもよくあることです。体験入社を通じて、求職者が自分に合った職場かどうかを確認していただき、安心して入社できるようサポートしています。
例えば、私たちのようなWEB業界では・・・
イメージは
◇トレンドで華やかな印象
◇ツールを活用したデスクワーク
実際は
◇コツコツと地味な仕事もたくさんある
◇パソコンに向き合うよりも人との向き合い方が大切
体験入社を実施して感じたこと
現在の20代は、学生時代にインターンシップに参加するのが当たり前の世代であるため、体験入社を希望する方が多いという印象があります。もしかすると、体験入社を事前告知することで、マーケティング業界への就職に対し、熱意のある方がエントリーするようになった可能性もあるかもしれません。
今回の活動テーマは、エントリーの母数を増やすよりも、マッチング精度を上げることに重点を置いていました。そのため、意図した方向に進んでいるという印象を持っています。
いずれにしても、当社ではメリットが大きく、デメリットにつながる要素は見当たりませんでした。
募集要項を見直す
以前、当社では中途採用の営業社員に関して、正社員と契約社員の雇用形態を設けていました。法人営業経験者や広告業界出身者は正社員、それ以外の未経験者は契約社員という条件でしたが、各社賃上げ傾向にある社会情勢を鑑みて、正社員雇用に切り替えました。
皆さまの会社の労働条件は、他社と比較してどうでしょうか。
明らかに最初から競り負けていると、当然ながら採用難度が高まります。意外と他社の労働条件を見ずに、求人広告を出してしまうケースも見受けられるため、定期的に確認していただくと良いと思います。
労働人口が減少する未来を考えると、今年より来年、来年より再来年と、採用はますます難しくなるでしょう。現代は、売り手市場であり、複数社から内定を得られる状況です。給与条件などを理由に同業他社を選ばれてしまうことは、この上ない損失に違いありません。業界水準を定期的に確認し、競争力を維持することが大切です。
公式採用サイトのリニューアル
ターゲットの明確化とコンテンツ設計をする
公式採用サイトは、より詳細なコンテンツ設計を進めました。必要と思われるコンテンツを構造化し、求職者が会社の全体像をより深く理解できるようにしています。多様化する就職観に対応するため、企業活動を多角的に表現し、幅広い視点からの情報提供を心がけています。
※当社が構造化した87個のコンテンツリストは、私たちが制作支援をする採用サイトでもお客様にご活用いただいています。
採用サイトは、単なる情報提供の場にとどまらず、企業の魅力や価値観を伝え、求職者との関係を築くための重要なツールです。
現代の採用サイトにおいては、事実を列挙するだけではなく、なぜそのような体制や教育環境を整えたのか、企業としての考え方を明確に示し、求職者との共感を促進することが大切です。私たちは、それも一つのカルチャーと捉えています。
コンテンツ例
・企業情報
・仕事紹介
・職場環境、制度について
・社員紹介
・募集要項
・エントリー
コンテンツ再設計の効果
求職者からの質問が変わる
採用サイトをリニューアルしてから実際に求職者とお会いすると、サイトを詳細に見てくださっていることが分かります。
以前の採用ランディングページでの活動と比べて、求職者からの質問内容が明らかに変わりました。情報量が増えたことで、これまでよく聞かれていた質問が減り、共通の理解が得られた上でニュアンス確認の質問が増えたと感じています。
スタート地点が変わることで、面談の時間をより有効に活用でき、よりリアリティのある深い対話が可能になると実感しました。
採用担当者や面接者、社員が発する言葉が変わる。
採用サイトを構築して、最も変わった点は、会社の情報が整理され、質が向上したことです。そして、それにより得たものは社員全員の「共通言語」だと感じています。
私が常々考えているのは、企業の理念や想いは社長が語るものではなく、社員全員が心から伝えられるものでなければならないということです。
「共通言語」が形成されることで、会社の魅力を伝えられるようになり、それが会社の文化醸成と発信力の強化につながっていると実感しています。
採用サイトのデザインをリニューアルする
コンテンツが確定したらデザインコンセプトを決めます。この順番が大切です。
ここで、日宣パートナーズの採用情報をリニューアル前後で比較してみましょう。事前課題は以下のような内容です。
■課題
35歳~50歳代で異業種からの転職希望者が多い
■改善目標
応募者の年齢層を10歳下げる
■求める人材像
・学ぶことを習慣にできる方
・お金以上に人から感謝される仕事を選ぶ方
・地味にコツコツ積み上げることができる人
■デザインの方向性
・将来的に新卒採用を強化していくことを見据える。
(20代を中心にしたメッセージ性が高いものへ変更)
・デザインやマーケティングをイラストを使って個性ある表現に。
・自らの人生を自分で決める。ドアを自分で開く主体性を表現。
・地方企業として地域密着を表現。ドアの向こうに茨城の街並みが見える。
※採用サイト制作の詳細を確認したい方はこちらのBlogもご覧ください
⇒『自社の魅力が伝わる採用サイトの作り方』
TOPデザインのリニューアルの効果
リニューアルを起点に応募層がガラリと変わりました。これまでのボリュームゾーンであった30代を抑えて、現在は20代の応募が一番多くなっています。上限も35歳までのご応募に留まり、応募者の若返りが見られました。加えて、カラーのトーンもだいぶ明るくなり、フレッシュな印象が強化されたと感じています。
広告メディアを見直し、改めて配信する
誤解されがちですが、公式採用サイトを制作しただけで応募者数の増加することは稀です。「集める」という活動は工夫が必要です。
公式採用サイトで企業のカルチャーや価値観をより深く理解できるように整理した後、広告配信を行うことで、より企業にマッチした求職者層にリーチすることが可能になります。改修は出口に近いところから行うことが鉄則で、採用サイトを整えた後に広告配信をするのが効果的です。
今回私たちが実施した広報活動
【今回の取り組み内容】
・公式採用サイト
・マイナビ転職 2か月掲載(8月末~10月末)
・Google広告配信 5カ月配信(8月~1月)
【今回採用した社員の入社経路】
◇新卒社員(2名)
・メールで採用に関する問い合わせをいただき、後日、採用情報を当社より案内
◇中途社員(2名)
・ダイレクトに公式採用サイトから応募
・Google広告を経由し、公式採用サイトから応募
採用難を背景に、求人メディアも日々進化しています。AIの搭載や、1社との契約で複数媒体に転載できる機能など、様々なテクノロジーが織り込まれています。
慣習的に同じ広告媒体を使い続けて反応が得られず、プランばかりが上昇しして、気がつけばコストが何倍も膨れ上がっていたなんてことになりかねません。私たちは、メディアごとに母集団形成における一人あたりの単価を明確に算出した上で、自社にとって適正なメディアを選定するようにしています。
まとめ
今回は、日宣パートナーズの採用活動を振り返ってみました。
私たちは、採用サイトの設計から採用サイト制作、運用、メディア選定、効果検証を行い、WEBを中心としたマーケティングを実行する会社です。
採用活動を行う上で、「採用活動全体を見直したい」「採用サイトで自社の魅力がまとめられない」というお客様はお気軽にご相談ください。
>>>『自社の魅力が伝わる採用サイトの作り方』
また、私たちは知名度のある求人メディアを横断的に取り扱っています。当社と同様にメディアごとに検証を加え、より適正なメディアを選定したい方もぜひお声かけください。