こんにちは。茨城県を中心にウェブマーケティングをサポートしている日宣パートナーズです。
業界で10年以上ウェブデザイナーとして仕事をしてきましたが、「デザインを作る」と同じくらい大切な作業として内容の間違いを見つけるための工程「校正(こうせい)」というものがあります。広報を担当された経験のある方は「チラシのデザイン案を送りますので、校正(チェック、確認)をお願いいたします」と広告制作業者から連絡を受けたことがあるのではないでしょうか。
実はプライベートでもウェブサイトやチラシを何気なく読んでいて「間違い」に気が付くことがあります。間違いと言いましても、文章中の気が付きにくい所から「どうしてここを!?」と目立つ部分までさまざまです。
では、どうしてそのようなことが起こるのでしょうか。
この記事では、そういった事柄について例を挙げながら、チェックするポイントも含めてご紹介していこうと思います。
はじめに
ここからは「あるお店の広報担当(発注者)が、今度開催されるイベントのチラシを担当することになった」と仮定して状況を見てみましょう。
こだわって作った最高のチラシ
自分の働くお店で、今度の大型連休に新商品の販売イベントの開催が決まった。
チラシを作ろうという話になり、広報担当である私は広告制作会社にデザイン案の作成を依頼した。
大型連休に開催するイベントということもあり、デザイナーも広報担当者も気合が入り、何度も打ち合わせと試作を重ねた。
厳しいスケジュールではあったが、同僚にも見てもらい「いいチラシだね!」と皆喜んでくれた。
最後の最後までデザインの微調整をしてもらうことになったが、印刷所にもギリギリでデータを渡すことができた。誰もが納得する最高のチラシになるはずだ。きっと今回のイベントは大成功するだろう。
間違いが発覚!
数日後、印刷されたチラシが届いた。
スタッフ皆で仕上がったチラシを「やっぱりいいね!」と見ていると、アルバイトスタッフの一人がポツリとつぶやいた。
「これ…値段が違いませんか?」
「値段が違う?そんなわけないよ、みんなで見ているはずだし…」とチラシをよく見ると、大きく書かれた単品価格は合っていたものの、その下に少し小さく書かれたセット商品の価格が間違っていた。
「あんなにみんなで見ていたのに、どうして気が付けなかったんだ…」
「そういえば見た目ばかりチェックしていたかも」と同僚たちがつぶやく。
確かにそうだ。カッコいいデザインにしたいということに頭が行っていて、小さく書かれたセット商品の価格まで合っているかどうか、しっかり確認していなかったかもしれない。
デザインを発注するときに作成した原稿を見直したところ、その時点でもう間違っていた。
急いでデザイナーに連絡を入れ、チラシを作り直してもらうこととなった。
思い込みから抜け出そう!
配布前に発覚したため、何とか切り抜けることはできましたが、その分追加の費用がかかってしまいました。どうしてこのようなことが起こってしまったのでしょうか。
このケースの場合、3つの思い込みが起きていたと考えられます。
1「デザインの完成」=「正しい内容」という思い込み
2「他の人も見ているだろう」という思い込み
3「間違えるわけがない」という思い込み
「完成」=「正しい内容」という思い込みから抜け出そう!
完成されたデザインを見ると「かっこいい」「かわいい」「おいしそう!」など見た目の印象に目が行ってしまいがちになることがあります。でも、それは目を引くためにデザインされているものですから、ごく自然なことです。
もし自分が「デザインされたものをチェックする立場」になった場合には、そういった目を引く装飾に惑わされず、むしろ「これは間違い探しだ!」という気持ちで内容の確認に取りかかる方が良いかもしれません。初めに作った原稿ですでに「間違い」が発生していることも少なくありません。
そして、ここでもう一つ忘れてはいけないのは、自分たちが「情報を発信する側」であるということです。見た目の印象に惑わされず、発信する情報自体が正しいか、そしてお客様にとって分かりやすいかどうかを見極めることも重要です。
「他の人も見ているだろう」という思い込みから抜け出そう!
自分ひとりでチェックしている時と、二人でチェックしている時を想像してみてください。
「みんなもチェックしているはず。それでも何も言ってこないから、きっと大丈夫だろう」と考えてしまうことが少なからずあります。
しかし、みんなが同じように考えていた場合はどうでしょう。そういった状況になった場合は、すべての間違いを見つけ出すことはより難しくなります。
そして、人数が増えれば増えるほど、そうした少しの油断の隙間を縫って、重要な間違いが後々突然見つかる事態に発展していきます。
それらを防ぐためには「ここまでは誰もチェックしないだろう」という細かいところをあえて見るようにしたり、「この漢字で合っていたっけ?」など少しでも気になった表現や単語、価格などについて、少し面倒に感じても調べてみることをおすすめします。ふと感じた違和感をそのままにしないというのも、意外に重要なことかもしれません。
「間違えるわけない」という思い込みから抜け出そう!
メールを送信した後に相手の名前を誤変換していたり、「お願いします」と打つべきところを「お願いしもす」などと打ち間違えることがあります。あり得ない間違いを日常でも案外しているもので、そうしたちょっとした間違いが「価格」などの重要なポイントで起きてしまうと、今回の例のようなことに発展し、場合によっては損失となることがあります。
「これまで間違えたことがないから大丈夫」と考えてしまいがちですが、もしかしたら「間違えた経験がないから、いつうっかり間違うか分からない」という考え方もできます。絶対の自信がある場所を「大丈夫だと思うけど、一応見ておくか」とあえてチェックする。そういった見方が損失を回避する一つの分岐点にもなり得ると私は考えます。
校正で押さえておきたい3つのポイント
個人的には「チェックすればするほど気になるところが出てくるもの」という印象があります。「原稿通りになっているか」だけに限らず、「言い回しは日本語として正しいのか」や「半角がよいのか全角なのか」とチェック項目を挙げるとキリがありません。
まずは下記の3点から意識してみるのはいかがでしょうか。
絶対に間違えてはいけない!項目を「最後にもう一度」見る
・一番目立つタイトル、キャッチコピー
・社名、店名
・写真と内容が合っているか
・問い合わせ先(電話番号)
・年号、日時、曜日、期間
・開催場所
・URL(二次元コード)
・価格、商品名
・イベント名
・人名 …など
以外とやってしまう!「社内だけで通じる商品名の略称、呼び名」
常に意識をしていないと、ついつい呼びやすい名称や、一部を省略して呼んでしまうことがあります。社内だけで使用するなら大きな問題はないかもしれませんが、広告の原稿など外部でお客様が目にする文書に関しては注意が必要です。
正しい表記をしなかったために、検索されにくくなったり、覚えてもらえない、伝わらないといったことになりかねません。
修正した部分だけでなく、周辺もチェックする。
たとえばチラシでイベント開催日に変更があった場合、
「そういえば、チラシの裏のクーポン券にも日付が入っているのでは?」や「ウェブサイトにも日付を掲載していたような気がする」など関連している部分も気に掛ける必要があります。
まとめ
自分だけですべての間違いを見つけるのは難しいと思います。
でも、どんな完璧なデザインにも「必ず間違いがある」という前提で校正に取りかかるだけでも、だいぶ違ってくるはずです。間違いが起きやすい状況を知ったり、「誰が間違ったか」よりも「間違った原因をどう改善しようか」と周りと協力することで、一つでも多く、少しでも早く間違いを発見し、損失につながることを防げるのではないでしょうか。
私自身も、一緒に働くスタッフの助けがなければミスなく終えることは難しいでしょう。これからも、時々この記事を読み返して「大丈夫だろう」と思い込むことなく、一つ一つに向き合えるように日々意識していきたいと思います。