人手不足解消の鍵!地方企業が採用サイトに注力すべき理由

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地方企業に広がる人材不足の課題

地方の中小企業では、人口減少や若者の都市部集中などの影響により、人材不足が年々深刻化しています。その解決策のひとつとして注目されているのが、自社の採用サイトを活用したアプローチです。採用サイトは企業の魅力を余すことなく発信する場になりますが、社員の声や実例の紹介、さらに応募時の手続きがシンプルで分かりやすいことも、応募者を増やす上で重要とされています。

厚生労働省が運営する「LO活 for company」では、地方企業がUIJターン者を効果的に採用するための情報やノウハウ、助成金・補助金の情報などがまとめられており、地方企業の人材不足解消に役立つ内容が掲載されています参考*1

また、2024年度のLO活アンケートでは、地方就職を希望する若者が一定数いるにもかかわらず、情報不足や企業の発信力不足によって応募につながらないケースがあることも示されています参考*2。令和6年版の労働経済白書でも人手不足への対応が分析されており、人材確保に向けた多様な取り組みが欠かせないとの見解が強調されています参考*3

効果を高める採用サイト構築のポイント

中小企業が採用サイトを運営するうえでは、デザインや機能以上に「企業らしさ」が伝わりやすいことが重要です。例えば、代表者の想いや社内の雰囲気を表現するコンテンツ、社員インタビューや動画などをポイント的に掲載することで、応募者の理解度は大きく変わります。

また、アクセスした人が応募までのステップを直感的に進めるように、問い合わせフォームやエントリー画面を分かりやすく設計することも大切です。採用サイトは検索エンジンからの流入が多くなる傾向にあるため、地域名や職種名を組み合わせたキーワードを意識的にページ内へ盛り込むと、地方都市での求人や人材不足の状況を調べている層の目に留まりやすくなります。

厚生労働省がまとめた「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」では、限られた予算のなかで工夫を凝らした採用・定着の事例が全国から紹介されています。地域の特色を全面に押し出し、応募者がその土地で働くイメージを具体的に持てるように工夫した企業も多く、自社の強みを業種ごとに言語化して発信することが効果的とされています参考*4

また、採用活動では、企業のイメージアップや認知度の向上が欠かせません。そこで活用したいのが、自治体や関連団体が開催するセミナー情報や、外部人材との協業事例です。例えば香川県では、プロフェッショナル人材の活用を推進するセミナーが行われ、外部人材の活用方法や中小企業の経営改善、人材育成についての講演が実施されています参考*5

福山市では副業人材活用セミナーが開催され、都市部の人材を地域企業に取り込む動きが注目されています参考*6。宿泊業界向けのセミナーでは、外国人人材の採用やSNS活用によるブランディング強化など、多様な採用手段が紹介されており、従来とは異なる働き方や採用方法を取り入れる必要性が示されています参考*7

採用サイト施策と広告運用の連携

採用サイトを立ち上げても、待っているだけでは応募者数が伸び悩むことが多いため、広告運用やSNSによる情報発信も組み合わせて拡散を図ると効果的です。

検索連動型広告は、地域名や企業名での検索流入を増やす施策としては有効です。予算が限られる場合は、採用したい職種のキーワードを絞り込み、広告配信地域も限定的に設定するなど、費用対効果を高める工夫が大切です。さらにSNSを使えば、写真や動画で企業の雰囲気を手軽に発信できますが、メインターゲットがどの年代なのかを明確化して運用することが重要です。

さらに、人材確保のためには、自社の理念や採用後のキャリア支援が見えやすい取り組みも求められます。NPOの採用では、給与水準よりも価値観の一致が重視されている事例も紹介されています参考*8

民間企業でも理念をしっかりアピールすることで、求職者が将来をイメージしやすくなり、広告運用や採用サイトへのアクセスを効率よく成果につなげられる可能性があります。採用サイトのデザインや文言と広告運用を連動させることで、サイトへ訪れた人をそのまま応募まで導くことがしやすくなるでしょう。

中小企業が取り組みやすい具体策

まずは採用サイトに企業の目的や特色をきちんと示し、応募前に疑問点を解消できるQ&Aや事例、仕事内容紹介動画などを掲載すると効果的です。効果測定としてアクセス解析を活用し、流入経路や滞在時間を把握して、必要に応じてページ改修や広告文言の調整を行うことも大切です。

上で述べたように、Web上だけでなく、地元イベントや合同説明会などの現場にも積極的に参加し、直接の接点を作ることも有意義です。

一方で、理系人材や専門知識を持つ若手などを採用する場合は、地域企業の知名度不足が大きな課題となることがあります。一般社団法人中部経済連合会による報告書では、中部圏における大卒理系人材の採用充足率が2025年春入社予定で42%と低く、2026年春の見込みも37%と低下傾向にあることが示されています。報告書では資本金や業種、学部別など多角的に採用難の背景を分析し、大学と企業の連携強化を提言しています参考*9

また、組織の価値を重視する求職者に響くよう、NPOのように価値観の一致を前面に出して人材を呼び込む方法も取り入れるのも良いでしょう。小規模企業ほど経営者の想いやビジョンがダイレクトに伝わりやすいため、これを強みに変えて発信することが大切です。

発信を継続する

地方の中小企業が採用サイトを軸に成功を積み重ねるためには、一度のキャンペーンや一時的な広告だけで終わらせず、継続的な発信と改善を行うことが大切です。
採用サイトの情報を常にアップデートし、実際に働く社員の声や経営者インタビューや職場環境に関する写真を差し替えたりするだけでも、サイトの鮮度が保たれます。 また、応募者対応や面接の日程調整など、オペレーションのフローを改善することで企業全体の印象も向上し、採用成功率が高まります。

外注やパートナー企業の支援を受ければ、自社に専門人材を抱えられなくても継続的な改善と運用を工夫できます。地域密着型ならではの魅力や強みを活かしながら、継続的に情報発信することで、限られた予算や人員であっても、採用サイトと広告運用を組み合わせることで効果的な人材確保を実現できるでしょう。

監修者

小池 正也(こいけ まさや)


Yahoo! JAPANの広告代理店にてWEB広告の運用に携わる。2009年、茨城県での事業立ち上げを機にUターンし、地域に根ざしたWEBマーケティング支援をスタート。これまで300以上の企業や店舗のWEB広告に携わる中で、広告を出すだけでは成果につながらないという課題を実感。
現在はWEBマーケティング全般に携わり、企業の魅力を引き出すWEBサイト制作や、Google広告・Yahoo広告・DSP広告・SNS広告などの運用、Googleアナリティクスを活用したアクセス解析を行う。現場での経験を活かした、改善提案を行っている。

出典

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