採用広告費削減にも！地方企業の採用サイトで実現する効率採用

2025年9月20日

地方企業の採用サイトで実現するコスト削減

広告費が限られる地方企業にとって、採用サイトは単なる情報ページではなく、採用コスト削減と応募数・質の両立を図るための中核です。人材紹介の仲介手数料を抑えやすく、求人広告や求人媒体の出稿を最小限にしながら自社主導で素早く募集をかけられるため、採用費用と採用予算の平準化に役立ちます。求職者の約7割が企業の採用サイトから情報を得ているという調査もあり、就職情報サイトだけでは伝えきれない企業文化や働く様子まで届けられる点が、ミスマッチの減少と離職率低下につながる可能性があります（参考*1）。結果として、採用活動のやり直しや教育に伴う間接コスト、人件費の削減にも波及すると私たちは見ています。

私たちは、採用サイトを自社の採用ハブと考えます。募集職種、働き方、勤務地、キャリアパス、よくある質問、社員インタビュー、福利厚生、動画などを一か所にまとめ、求人媒体やSNSからこのページに集客する流れを作ります。この導線なら、媒体費用を抑えつつ、意思決定に必要な情報を自社の言葉で届けられます。

また、制作費用は一度の投資で資産化されます。ページを更新しながら育てることで、繰り返し成果を生み続け、長期的なコスト削減に寄与します。ポイントは、公開後の運用まで見据え、更新しやすい体制と分析基盤を最初から整えることです。

地方採用の現状と広告費の課題整理

地方採用は人手不足の影響を直に受け、広告費の単価は年々上がりがちです。媒体の料金形態は大きく、掲載課金型、成果報酬型、クリック課金型の3種類があります。Indeed、エンゲージ、求人ボックス、Wantedly、リクナビNEXT、マイナビ転職、しゅふJOB、タウンワーク、バイトル、dodaなど、特徴の異なる媒体から選び、データで費用対効果を比較する姿勢がポイントです。掲載枠の一括購入や営業担当との交渉、新規企業向け割引の活用など、地道な工夫でも着実にコストを圧縮できます（参考*2）。

実務では、新卒採用と中途採用、さらにはアルバイト・パートなど雇用形態によって、相性の良い求人媒体や採用予算の配分が変わります。求人掲載サービスは無料と有料があり、専門職や地域密着型ではニッチ媒体を選ぶことで無駄応募が減り、適合人材への到達率が上がります。求人原稿は仕事内容、待遇、文化を具体的に伝え、応募データを分析して改善を繰り返すことで、配信ロスを抑えられます（参考*3）。

なお、Indeedは無料掲載から始められ、広告配信の柔軟性と検索性の高さが評価されていますが、キーワード設定や原稿の質、運用ノウハウ次第で成果が大きく変わります。マッチ度の低い応募が増える課題も指摘され、まずは無料で検証し、必要に応じて専門支援を組み合わせる段階的アプローチが現実的です（参考*4）。

採用サイトの役割と費用対効果の考え方

採用サイトは、複数チャネルを束ねる母艦です。公募型の求人媒体は広く募れる一方で企業の魅力を深く伝えにくい、人材紹介は専門人材に効くがコストが高い、ダイレクトリクルーティング（ダイレクトソーシング）は関係構築に向くが手間がかかるなど、各チャネルに得手不得手があります。だからこそ自社サイトで魅力の全体像を提示し、どのチャネルから来ても最終的に同じ情報設計で理解してもらうことで、ミスマッチと広告依存を減らせます（参考*5）。

費用対効果は、採用単価だけでなく、選考スピード、歩留まり、定着率で評価します。たとえば、応募から面接までのリードタイム短縮や、内定承諾率の改善は、見えにくいものの大きなコスト削減につながります。採用サイトに社員の一日や教育制度、評価制度を明示し、職務要件を平易に書くことで、面接段階の辞退を減らします。採用サイトは採用マーケティングの起点として、各接点のメッセージを揃える役割を持つと私たちは考えています。

さらに、採用サイトはBtoBの営業にも効きます。製造業なら製品名と地域名で上位表示を狙った技術情報や導入実績を併設し、会社理解の深い応募者と見込み顧客の双方に価値を出す設計が、投資の回収を早めます。

地域密着で求人広告依存から脱却

地域密着の強みは、現場の生活感や働く人のリアルさです。採用サイトに「よくある質問」を設けると、応募前の不安をほどく情報を整理でき、問い合わせ対応の負荷も下がります。FAQは更新を前提に、問い合わせの傾向を定期的に反映させる運用が効果的だと私たちは見ています。職種紹介、福利厚生、社員インタビューなどと合わせて体系化すると、信頼感が高まり離脱が減ります（参考*6）。

若年層のリーチにはショート動画も有効です。TikTokやInstagramリールは短時間で社風を伝えやすく、知名度の低い中小企業でも印象づけられます。タクシー会社の三和交通や航空会社のANAなどの事例にみられるように、冒頭の引きで関心を集め、リアルな職場の雰囲気を映し、字幕や音楽を適切に使うことがポイントです。制作費の相場感は5万〜15万円で、継続運用と品質管理に留意すれば、地域の高校生や専門学校生にも届きます（参考*7）。

さらに、地元メディアとの連携や社員発信のブログ、地域イベントのレポートを自社サイトに集約し、SNSから流入を誘導します。広告が止まっても動く自走型の導線ができれば、募集期以外の関心層もためておけます。

応募管理とオンライン面接で業務効率化

応募が集まっても、対応が滞れば機会損失です。ATSと呼ばれる応募管理システム（Applicant Tracking System）を導入すると、求人票の一元管理、ステータス管理、リマインド、面接調整までを自動化し、Indeedなどの検索エンジンへの連携も効率化できます。AIで求人票のキーワードや表現を整えると、作成時間の短縮と訴求力の両立が可能です。私たちは、無料のハローワーク活用とAI・ATSの組み合わせが、オンライン採用や採用効率化、そして広告費の抑制につながる現実的な打ち手だと捉えています（参考*8）。

面接はオンラインと現地の併用が有効です。一次面談はリモート面接で短時間に複数枠を回し、最終面接や職場見学は現地で行うと、移動時間と会議室の調整コストが減ります。評価シートを共通化し、録画での振り返りを行うと、合議の質も上がります。この方法は業務効率化に直結し、採用自動化の基盤にもなります。

自社サイト集客を高めるローカルSEOの実践

ローカルSEOは、地名と業種や製品名の組み合わせで検索上位を狙う取り組みです。鍵は、検索者視点のキーワードを用いてページを設計することです。例えば製造業なら、製品名＋地域、素材名＋加工、型番＋試作などの具体キーワードで、事例と写真、工程、品質基準、対応できるロット、納期目安を明記します。BtoCなら、店舗名＋地域、サービス名＋価格、来店予約までの導線を整理します。

次に、構造化データ（検索エンジンに伝わりやすい記述）とGoogleビジネスプロフィール（Googleマップに表示される会社情報）の充実です。住所、営業時間、電話、駐車場、対応エリア、求人情報を統一表記にし、口コミには丁寧に返信します。採用サイト内にも拠点情報を掲載し、アクセスと通勤手段、周辺環境を写真で示すと、地方移住やUターン、Iターンの検討者に安心感が生まれます。

最後に、計測と改善の習慣化です。検索クエリ別の流入、滞在、応募までの一連の数値を月次で見て、閲覧が多く離脱が高いページから改善します。小さな更新を積み重ねる姿勢が、広告に頼らない自社集客を育てます。

指標設計と次の一手で持続的な採用へ

採用のPDCAを回すには、指標をシンプルに設計します。代表的には、流入数、応募数、書類通過率、面接実施率、内定率、承諾率、入社後定着率です。媒体別ではCPA（応募1件あたりの獲得コスト）、サイトではCVR（ページ訪問に対する応募の割合）、スカウトでは返信率、選考ではリードタイムを併せて見ます。これらを月次で可視化し、変動の要因を仮説化して次の施策に反映します。

次の一手として、採用ブランディングを強化する選択もあります。ビジョンやミッションへの共感を軸に人材を募るビジネスSNS型の媒体は、無料トライアルや月額5万円からの有料プラン、記事無制限、ダイレクトスカウトやカジュアル面談などの機能を備え、若手や意欲人材の獲得に向きます。ただし即効性よりも運用と発信力が問われるため、採用サイトとの連携と運用体制の確保が前提です（参考*９）。

私たちは、地方創生の視点で採用を考えるほど、地域密着の物語づくりと業務効率化の両立が成果を左右すると感じています。広告費の見直し、採用サイトの強化、ATSでの自動化、ローカルSEOでの自然流入、SNSと動画での認知拡大という5本柱を、段階的に始めて継続する。これが、地方企業が人材採用とコスト削減を同時に実現するための現実的な道筋だと考えています。

監修者

小池正也（こいけまさや）

Yahoo! JAPANの広告代理店にてWEB広告の運用に携わる。2009年、茨城県での事業立ち上げを機にUターンし、地域に根ざしたWEBマーケティング支援をスタート。これまで300以上の企業や店舗のWEB広告に携わる中で、広告を出すだけでは成果につながらないという課題を実感。
現在はWEBマーケティング全般に携わり、企業の魅力を引き出すWEBサイト制作や、Google広告・Yahoo広告・DSP広告・SNS広告などの運用、Googleアナリティクスを活用したアクセス解析を行う。現場での経験を活かした、改善提案を行っている。

出典