変わるBtoB営業!WEBサイトの導線を改善するポイント

目次

はじめに

BtoB領域では、対面営業だけでなくWEBサイトが顧客との最初の接点となるケースが増えています。特に中小企業にとって、WEBサイトの導線が適切かどうかは、企業の成長や信頼獲得に直結する重要なポイントです。

この記事では、デジタル施策に不慣れな中小企業の経営者や、マーケティング初心者の方を対象に、BtoBサイトの導線改善がもたらす効果や、実際に取り組みやすい改善手法を紹介します。問い合わせ数や売上の向上に役立つ実践的な内容を盛り込み、導線の重要性から具体的な配置、継続的な運用まで段階的に解説します。最後までお読みいただくことで、WEBサイト改善のヒントを得られるでしょう。

BtoBサイトの導線設計が重要な理由

企業のWEBサイトは、単に情報を発信するだけでなく、訪問者が求める内容を的確に提示し、次の行動へつなげる役割を担っています。そのため、明確で分かりやすい導線設計が欠かせません。ここでは、BtoBサイトにおける導線整備の重要性について解説します。

売上向上と問い合わせ増加の効果

BtoB領域では、対面営業よりも前に、WEBサイトでの情報収集が購買担当者の意思決定を大きく左右しています。株式会社Coneが問い合わせ・資料請求経験者221名に実施した調査では、最も関心が高い情報として「料金や費用」が54.4%に上りました参照*1。訪問者が知りたい情報をすぐに得られるサイトほど、問い合わせや資料請求につながりやすくなります。

また、同調査ではITやSaaS関連サービスでは「課題解決情報」、人材・採用系サービスでは「差別化ポイント」が重視される傾向も明らかになっています参照*1。このような背景から、売上を伸ばすためには、自社の強みや価格、導入事例を分かりやすく提示する導線設計が重要です。情報の配置やページ間の流れを工夫することで、見込み客の行動を後押ししやすくなります。

BtoB特有の購買プロセス

BtoBでは、購買担当者だけでなく、上層部や関連部署など複数の関係者が意思決定に関わるため、購買プロセスが長期化しやすい傾向があります。価格だけでなく、実績やサポート体制など多面的な情報が必要とされるのも特徴です。

Bain & Companyの調査によれば、顧客が自社を他社に推薦する意欲(NPS:ネット・プロモーター・スコア)を高めることが、BtoB企業の成長に大きく寄与するとされています参照*2

こうした複雑な購買過程では、WEBサイトが第一印象から最終検討までの情報源として活用されます。比較サイトや業界メディアでの評判も最終判断に影響しやすい中、公式サイトの導線が分かりにくいと、訪問者を次のアクションへ導くことが難しくなります。必要な情報を段階的に閲覧でき、疑問点をすぐ問い合わせできる導線設計が求められます。サイト内の情報を分かりやすく関連づけることで、複数の意思決定者が納得しやすくなり、契約や導入へのハードルを下げることが可能です。

導線改善の具体的ポイント

ここからは、BtoBサイトの導線をどのように改善できるか、具体的なポイントを紹介します。Webサイトの導線設計は成果を出すための基本ステップとされ、CV(コンバージョン)を増やすための見直しポイントをチェックリスト化した事例もあります参照*3。情報の配置方法や行動を促すポイントの設置、料金情報の示し方について順に見ていきます。

情報配置の最適化

まず基本となるのが情報配置の見直しです。BtoBサイトでは、自社が伝えたい情報ばかりを掲載し、訪問者が知りたい具体的な情報が不足しているケースが多く見受けられます。

BtoBサイトで成果を増やすための課題として、閲覧開始ページに適切な行動喚起がないことや、訪問者の検討段階に合わせたコンテンツが不足している点が指摘されています参照*4

このような課題を解決するには、トップページや主要な製品・サービス紹介ページに、見込み客の視点で構成した情報を配置することが有効です。比較検討の初期段階では企業概要やサービス概要、中期では導入事例や課題解決の具体案、最終段階では契約手続きやサポート内容などを段階的にまとめると、訪問者が自分のニーズに合った情報を見つけやすくなります。

また、最新の導入事例や活用シーンを追加することで、自社の信頼性を高め、実際の効果をイメージしやすくなります。情報を階層的に整理し、関連ページへスムーズに移動できるリンク構造を整えることも重要です。分かりやすいメニュー配置や視線誘導のデザインを活用し、訪問者の興味を深める工夫を取り入れるとよいでしょう。

CTAの配置と目立たせ方

導線改善の中心となるのがCTA(コール・トゥ・アクション)の設置です。CTAとは、資料請求や問い合わせボタンなど、訪問者に次のアクションを促す仕組みです。BtoBサイトでは、問い合わせや見積依頼のボタンをどこに、どのように配置するかが成約率に大きく影響します。

例えば、スクロールしなくても目に入る位置に複数のCTAを用意すると、訪問者が必要なタイミングでアクションを起こしやすくなります。色や大きさ、余白を調整して目立たせることもポイントです。メインの訴求ポイントと異なる色を使い、コントラストをつけることで、訪問者がCTAをすぐに見つけられます。

また、「お問い合わせ」だけでなく、「お見積りはこちら」「資料をすぐにダウンロード」など、行動後のメリットを明示することで、アクションにつながりやすくなります。適切なCTAの配置により、訪問者が興味を持つたびに行動を促す導線となり、問い合わせ数や商談数の増加が期待できます。

料金情報の示し方

料金情報の提示方法も重要なポイントです。前述の調査でも、BtoBサービスサイトの訪問者が特に重視しているのは「料金情報」であることが分かっています参照*1。導入コストが企業の予算に収まるかどうかは、商談化への大きなハードルとなります。問い合わせを促進したい場合には、料金の概要を分かりやすく示すことが大切です。

ただし、BtoBサービスの中には、カスタマイズや利用規模によって価格が変動するものもあります。その場合は、基本となる料金プランの目安や、セットで提供される追加サービスの内容を具体的に示し、詳細は個別問い合わせで補う流れを整えるとよいでしょう。明確な料金表や導入費用シミュレーションを用意すると、訪問者は自社の予算と比較しやすくなり、不安を解消できます。

さらに、料金に関するFAQを設置し、よくある疑問を解決できる場を用意することも効果的です。料金情報による離脱を防ぐためにも、適切な説明でハードルを下げ、興味を次のステップにつなげる工夫がポイントとなります。

継続的な運用とPDCAで成果を高める

導線改善は一度きりで終わらせず、継続的な運用と効果検証を重ねることで、成果を高めることができます。ここでは、サイト更新とPDCAサイクルの重要性について解説します。

更新頻度向上の効果

株式会社ConeがBtoBサービスサイト運営担当者221名を対象に実施した調査によると、サイトを更新した後に問い合わせや資料請求が増加したと回答した企業は全体の80.4%に達しています参照*5。さらに、週1回以上の頻度で更新している企業の半数以上が「成果が大幅に増えた」と感じており、月2~3回の更新でも約9割の企業が何らかの効果を得ています。更新頻度を高めることで、成果がより顕著に現れる傾向が見られます。

この背景には、BtoBサイトのように検討期間が長いビジネスでも、常に新しい情報が発信されているサイトは訪問者や検索エンジンから高く評価されやすいことがあります。新たな導入事例や製品アップデート情報の公開は、潜在顧客の購買意欲を刺激し、自社への関心を継続させるうえで有効です。古い情報が残らないよう鮮度を保つことも大切です。結果として、更新をこまめに実施している企業ほど、問い合わせや見積もり依頼などの成果を得やすくなります。

検証と改善プロセス

導線の効果を持続的に高めるには、更新だけでなく、定期的な検証と改善も重要です。IDEATECHが提供する調査によると、BtoB企業の経営者107名を対象とした2025年版リード獲得課題調査で、サイトの継続的な分析とPDCAサイクルの運用が今後の成長に欠かせないテーマとして挙げられました参照*6

具体的には、月1回を目安にアクセス解析や問い合わせ数、資料請求数などのデータを振り返り、どのページで離脱率が高いのか、どこで訪問者が行動を起こさないのかを確認します。そのうえで、料金情報の更新やCTAデザインの修正、導入事例の追加など細かな修正を行い、次のサイクルにつなげていきます。

また、社内の複数部署や外部パートナーと連携して改善を進めることで、多角的な視点から課題の原因を探ることができます。こうした積み重ねにより、導線が常に最適な状態となり、問い合わせや商談化、売上向上の可能性を高めることができます。

おわりに

BtoB営業の現場では、WEBサイト経由での問い合わせや商談獲得が重要性を増しています。導線を改善することで、訪問者にとって必要な情報を分かりやすく提示し、スムーズに行動してもらう道筋を作ることができます。

本記事で紹介したポイントを参考に、情報配置やCTA、料金表示などの要素を見直し、継続的にサイトを運用してみてください。PDCAサイクルを回しながら導線を洗練させていくことで、売上拡大や見込み客の増加といった成果につながる一歩になるでしょう。

監修者

小池 正也(こいけ まさや)


Yahoo! JAPANの広告代理店にてWEB広告の運用に携わる。2009年、茨城県での事業立ち上げを機にUターンし、地域に根ざしたWEBマーケティング支援をスタート。これまで300以上の企業や店舗のWEB広告に携わる中で、広告を出すだけでは成果につながらないという課題を実感。
現在はWEBマーケティング全般に携わり、企業の魅力を引き出すWEBサイト制作や、Google広告・Yahoo広告・DSP広告・SNS広告などの運用、Googleアナリティクスを活用したアクセス解析を行う。現場での経験を活かした、改善提案を行っている。

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